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チェコスロヴァキアで開発されたZB26軽機関銃に改良を加え1935年に採用されたのがブレン軽機関銃である。 弾薬はイギリス軍の標準弾薬である.303ブリティッシュ弾であり、 バナナ型の30連マガジンを使用。発射速度は毎分500~520発程度だった。 本銃の名称は開発に関わったチェコスロヴァキアのブルーノ(Brno)造兵廠とイギリスのエンフィールド(Enfield)造兵廠との頭文字に由来する。
ベースとなったZB26は故障は弾倉込みでも重量10kg以下と当時としては非常に軽量ながら、 どんな環境でも快調に作動し、構造が単純で分解や整備は非常に簡単。 更に300発までは連続して射撃を続けることが可能で、それ以上射撃を続ける場合にはワンタッチで銃身を交換すれば良いと 機関銃の歴史でエポックメーキングとなった名銃であり、本銃もその優れた性質を受け継いだ。
イギリス軍は本銃を10人からなる分隊(section)に1挺配備し、通常銃を撃つ機関銃手と予備の弾薬と銃身を運ぶ弾薬手の2名で運用された。 イギリス兵にとって、軽快な軽機関銃であり分隊の中で最も射程と火力に優れる火器である本銃は、 常に分隊とともに最前線にあり確実に支援射撃を行ってくれる身近で頼もしい存在だった。
敵国であるドイツ軍では汎用機関銃であるMG34またはMG42が同様の役割を担っていた。 ベルト給弾で毎分1000発を超える発射速度を誇るMG42に対し、 30発弾倉で自動小銃に毛が生えたように見える本銃は一見すると全く相手にならないように思えるが、実はそうではなかった。
前述したように軽機関銃とは基本的に機関銃手と弾薬手の二人で運用するものだ。 機関銃手が射撃を行っている間、軽機関銃のそばについた弾薬手が素早く弾倉ないし弾薬ベルトや過熱した銃身の交換を行ってやることで*1 初めて軽機関銃は高い火力を持続して発揮することが可能になるのである。 本銃を含めこの時期の多くの軽機関銃が上から給弾する弾倉を採用した理由の一つが 弾薬手がつくことでものの数秒で弾倉を交換でき迅速に射撃を再開できるという大きな利点があったからである。
それに対してドイツ軍のMG42は歩兵分隊に配備し軽機関銃として運用するときには通常50発の弾薬ベルトを使用し、*2 弾薬ベルトの交換もブレンのように迅速にというわけにはいかなかった。 これらのことからあくまで軽機関銃としてみれば本銃はMG42に決して劣る存在ではなかったのである。
1958年、イギリス軍はヴィッカース重機関銃の後継としてFN MAG汎用機関銃を採用した。 他の西側諸国ではアメリカやドイツをはじめ汎用機関銃を歩兵分隊にも配備する国も存在したが イギリス軍では本銃を7.62mmNATO弾を使用できるように改良したうえでL4軽機関銃として使用を継続し、 全ての歩兵に自動小銃が行き渡ったフォークランド紛争においてもなお主力軽機関銃として活躍した。 イギリス軍では80年代後半に5.56mmNATO弾を採用したことを契機に退役しているが、 インド軍などではなお二線兵器としてではあるが使用が継続されているという。
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